急・オージーライフ
〜プロジェクトの「健康度」とは?〜

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先日、初めてオーストラリアのホンモノを体験しました。
“ G’Day! ”
いままで色んなオージー(オーストラリア人の愛称)に会いましたが、
まさかUber Poolで相乗りしたあんちゃんに言われるとは・・・

というわけで、お久しぶりです。シドニーにおります、金です。

前回の記事以降は、シティの近くに引っ越して、
一つ屋根の下、フランス人3人とネパール人2人とハウスシェアをしています。
家に帰ると、誰かしらがリビングにいるので、
喋ったり、ワインを飲んだり、Sake(日本酒)を振る舞ったり、
ネパール餃子を食べたり、ゲームしたり、ロッククライミングに行ったり、
なかなかChillな生活を送っています。
(このままフランス語とネパール語を覚えられたらいいなと思ってますが、
なかなか上達しません 笑)

彼らは全員プロフェッショナルとして、
気持ちよく働いて稼いで、スパッと定時で帰ってきます。

その中のひとりは、プロダクトマネージャーとして、
オーストラリア最大のスタートアップ企業であるAtlassian(アトラシアン)で働いていて、
興味深い話を聞いたことがあります。

「オーストラリアは、フランスにいたときよりも労働時間が短いわりに、
よくチームアップされて、給料も良いし働きやすい。
自分たちのプロダクトがそういう風な社内のカルチャーに貢献できることが
働いていて一番楽しいところだね」(拙訳)

素直に良いなぁと思います。

そんなAtlassianを題材として、多様性を力にして理想のチームを作るための、
シドニーのプロジェクトマネジメントオフィサー(PMO)が集まる
コミュニティに参加してきました。
今回は、そこの場にいたPMOの人たちと情報交換してきた内容を紹介いたします。

アトラシアンとは?
まず、Atlassian(アトラシアン)とは、
創業者のマイクとスコットが大学生のときに出会い設立され、
今やナスダックに上場する正真正銘のスタートアップ企業です。
日本では、あまり馴染みがない企業かもしれません。
というのも、Google、Amazon、Facebook、Appleが日本ではあまりにも有名すぎるためです。
しかし、IT系でなくとも、一度は目にしたことがあるであろうTrelloや
一時期メディシンクでも使っていたBitbucketといったウェブ開発のためのツールを、
各チームやプロジェクトのために提供しています。
個人的な感想ではありますが、
この2つは誰でも使えそうな簡単なインターフェースだったのが非常に印象的でした。
そのため、このTrelloやBitbucketを提供していたのが、
まさか自分がいるシドニーを本拠地とした企業だったと知ったときは驚きました。


負荷を減らす工夫
さて、ようやく本題ですが、コミュニティでは以下のアジェンダが用意されていました。

原文
• Harboring awesome organisational / team culture + openness and trust = happy,
 invested, motivated people.
• Building teams that are responsive and agile in a fast-paced organisation.
• Pioneering PMO at Atlassian and how value is derived with its partnerships
• Measuring project health in a fun and effective way that builds trust
 and encourages healthy dialogue.

拙訳
・素晴らしいチームの文化と正直さや信頼を足し合わせると、
 幸せで、見込まれ、やる気に満ちた人々が生まれる、この状態になること
・動きの速い組織の中で、即応性と俊敏さを備えたチームを作るということ
・アトラシアンでのPMOの草分けとなり、
 対等なパートナーシップという関係性の中から価値を引き出す(得る)方法
・プロジェクトの「健康度」を楽しく効果的に測り、
 信頼を築いて健全な対話を生み出すということ

日本語が下手ですみません。

一言でまとめてしまうと、
速く厳しい市場環境の中で、いかに幸せでやる気に満ちたチームを作り、
対等なパートナーシップを用いて価値を創出していくか、
そしてそこで組成されたプロジェクトを「健康的に」運営していくのかという方法です。

つまり、働き方改革そのものにダイレクトに関わる内容です。
ここでの健康度とは、
プロジェクト自体に財政的・時間的なストレスがかかっていないことを表しています。

コミュニティでシェアされた内容は、
まさにこのプロジェクトの健康度に関わるものでした。


人の考え、特に意思決定だけではなく、
メンバーの感情までもが双方向に動くプロジェクトの現場では、
ストレスがかからないことが一番。
財政的・時間的なストレスは無理のない範囲で常に存在するならば、
最も読みにくいのがコミュニケーションの問題です。

電線に例えると分かりやすいかもしれません。
速く漏れなく資源をやり取りするには、
抵抗が少ないことが最も電気のパワーを伝えやすくなります。

あるコミュニティのメンバー曰く、
この「ストレス」をマネージするために、
稼働に対する業務割合を数値化し、配分し、適正な範囲内に保つこと、
その問題に対しコミュニケーションツールを介在させるというアプローチを取っている、と。

まだまだ勉強が足りないなぁと痛感しつつも、なるほどと思いました。


英語版にはなりますが、以下のリンクはプロジェクトの健康度を測るための簡易測定サイトです。

https://www.atlassian.com/team-playbook
ぜひ、お試しください。



働き方まとめ
「人間は機械じゃない」その見方は日本にもまだ根強く残っているかと思います。
ただ、一方で働くことと人生を楽しむことが表裏一体ではなく、
人間が人間のために人間的な働き方をしてきたことが背景にあってこそ、
現在の働き方改革という標語が生まれたのではないでしょうか。

つまり、複雑な音楽が流れていても、
踊り手である人間が上手にそのリズムに合わせることによって、
生産性は高められ仕事を早く終えて、
自分の時間や家族との時間を作ることができるというのが、
シドニーでの働き方における考え方なのではないかなと思います。

早く帰っていても彼らは稼いでいます。
彼らの多くは休暇で旅行にいきます。
例えば、いわゆる中流(決して可処分所得が高いわけではない)の家庭のクラスが、
日本へ大挙して旅行し、一人あたり平均24万円近く使っているというデータがあります。
これは訪日外国人の中でも一番の消費額です。
大抵の場合は4〜5人の家族で行くので、一回の旅行の出費は軽く100万円を超えてきます。
オーストラリア人のお父さんの頑張りと働きっぷりがすごい・・・というわけです。


日本国内でも若い人を中心に否定的な見方がされている所謂“昭和的な”働き方ではりますが、
個々人の幸せと社会全体としての競争力を高めていくには、
世界の潮流に合わせて働き方を素早く変化させていくべきだと僕自身は考えています。

その中でいかに「健康的に」「ヘルシーに」人も仕事もプロジェクトも遂行していけるか、
この視点こそ中長期的に社会を反映させていく鍵なのではないかなと思います。