どんなトレーニングをしているの!?
少年院の子どもたちと視機能の関係性

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みなさんこんにちは。ビジョンアセスメントトレーナーの小松佳弘です。
前回記事:少年院の子どもたちと視機能の関係性

今回は、前回記事の予告通り、子どもたちにどんなトレーニング指導をしているか?を書いていきたいと思います。

まずは生きる基本となる、呼吸の指導からスタートします。呼吸は自律神経であり「呼吸を制すものは自律神経を制す」と言ってもいいと感じています。

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そして舌のお仕事は呼吸や食事だけでなく、頭部を安定させるお仕事もしています。頭部は頚椎とその周辺の筋肉にプラス!舌も頭部が前に倒れないように支えてくれています。このそれぞれの支えがないと、身体の筋出力も低下しますし眼球運動の安定化も期待出来ません。

呼吸のトレーニングは、とてもシンプルに「あいうべ体操」を行っています。その名のとおり、口を大きく開けて思いっきり「あ」「い」「う」とゆっくり発声しながら行うトレーニングです。口輪筋を活発に動かすだけでなく、ストレッチや筋トレ効果も期待できます。そして、最後に「ベー」と思いっきり舌を出すことで、舌筋のトレーニングも促していきます。(あいうべ体操・・福岡のみらいクリニック 今井一彰先生考案)

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そしてその次のステップで眼球運動を促していきます。そこで注意しており且つパターンとして多いケースが、前頭葉や小脳・屈折異常などに課題がある場合です。そのケースの場合は、すぐにトレーニングに取り組んでも眼球運動がスムーズに動かないことが多い為、ペン先を使った眼球の単体運動は控えます。

身体を使った粗大運動からはじめ、次第に小脳機能を中心とした微細な運動に切り替え、様々な運動を取り組む過程に眼球運動を促していきます。風船やお手玉を使ったり、足元にラインを引いてルールを増やしたり、段階を踏んで少しずつ難しくしています。

決してきついトレーニングではなく、笑い声などが起き、楽しいけどちょっと難しいトレーニングを選定することを心がけています。実際に子ども達もとても楽しそうにトレーニングに取り組んでいますし、成し遂げるまで何度も挑戦していく姿には勇気をもらっています。

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トレーニングと聞くと、取り組み慣れてない子や親しみのない子は、きついものだと構えてしまう傾向もありますが、一度経験することで「この時間が楽しい」と実感出来ることにも取り組む価値があると感じています。様々なトレーニングを行った最後に、はじまる前に困難だった項目のアセスメントを再度行います。改善を実感することで本人も納得が出来、それを見ている先生方も喜びが生まれます。この変化の答え合わせを大切にしています。

子どもたちの今後

私が活動しているなかだけでも、子ども達はどんどんと変化し成長をしています。取り組む前に出来ないと投げやりでいた子が、まずは挑戦してみるようになったり、継続して繰り返し成し遂げようとする姿はいつ見ても感動を覚えます。その姿がトレーニングではなく、社会に出たときにどのように応用してくれるのかが重要です。

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僅かながらですが、このように外部の人間として関わり、自分も一緒に成長させて頂ける環境は有り難いものです。少年院内の教育に少しのスパイスとして刺激になり、卒業した子どもたちが社会で活躍してくれることを切に願っております。





来週のa2MAGAZINEは、倉恒弘彦医師の人気連載企画です。次回もお楽しみに!