慢性疲労と睡眠の異常〜前編〜

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慢性的な疲れを感じている方の訴えを聞いてみますと、「なかなか寝付けない」、「夜中に目が覚めてしまう」、「朝の爽快感がない」などの睡眠の異常に関する言葉をよく耳にします。そこで、今回は疲労と睡眠の関係について考えてみましょう。

●睡眠の評価法
一般的な睡眠を調べる方法としては、質問票を用いて睡眠時間、起床時の眠気や爽快感、疲労回復、入眠や睡眠維持状態などを調査し、これらを点数化して評価する方法が用いられています。ここで異常が疑われ、治療の必要がある場合は、入院しての検査になりますが、睡眠中の脳波や眼の動き、呼吸状態、心電図などの変化を調べる睡眠ポリグラフ検査があり、睡眠の深さや質を詳しく評価することが可能です。

●睡眠覚醒リズム評価
最近、携帯電話とヘルスケア端末が連動した腕時計型の健康器具が発表され、注目を集めています。これは、簡単な加速度センサーを組み込んだ腕時計型の健康器具で、携帯電話を利用して日中の活動量や簡単な睡眠評価ができることを特徴としています。このような簡単な加速度センサーを組み込んだ腕時計型の睡眠評価装置は医療機器としても開発されており、このような機器を用いますと日中の活動量や居眠り回数、睡眠効率、中途覚醒数などを簡便かつ客観的に評価することができます。これは、起きているときにはヒトの腕は絶えずごくわずかに揺れ動いていますが、入眠中はこの動きが明らかに減少することを利用して睡眠の質を判定するというものです。

睡眠か否かの判定を、0.01Gというごくわずかの体動の変化を2~3Hzの周波数において調べてみますと、測定脳波を用いた睡眠ポリグラフの結果と約9割は一致しており、国際睡眠学会などでもこのような機器を用いた睡眠の評価が承認されています。図1にアクティグラフ(AMI社製)を用いた睡眠・覚醒リズムの客観的な評価を示していますが、起きているときの活動量や居眠り回数とともに、睡眠中に目が覚めた回数(中途覚醒回数)や睡眠効率を客観的に調べることができるようになってきました。

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図1. アクティグラフを用いた活動量や睡眠の評価

次回は、後編として、疲労に伴う日中活動量低下と睡眠異常についてを予定してますのでお楽しみに。




医師:倉恒弘彦(くらつね・ひろひこ)
プロフィール
大阪市立大学医学部客員教授として、疲労クリニカルセンターにて診療。1955年生まれ。大阪大学大学院医学系研究科招へい教授。日本疲労学会理事。著書に『危ない慢性疲労』(NHK出版)ほか。

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※この記事は、弊社提携先の株式会社FMCC(倉恒弘彦代表)のコンテンツを連載するシリーズです。「疲労関係」の講演や臨床試験など、弊社までお気軽にお問い合わせください。




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