海外と日本の視力検査の違い〜後編〜

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皆さんこんにちは。ビジョンアセスメントトレーナーの小松佳弘です。前回記事に引き続き、海外と日本の視力検査の違いについてご紹介します。

前回のコラムでもお話しした通り、学校での視力検査は先生方が「見えるまで行う」傾向があります。これは先生方への知識の展開が成されていないだけと感じます。

日本の視機能に対する一般的なイメージや実情は、「視力が良くて見えていればいい」という認識が強く、更に片眼の視力が良好であれば問題なしとみなされる傾向があります。

人の眼は、いくつありますか? 「右目の視能がわかれば、それが対称にもう一つあるよね」という理屈で、対処しているケースも多く、「なぜ眼が2つあるのか」とあまり深く向き合えてない現状があります。

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野球のキャッチボールで、実験された結果が残っています。

片眼のみ視力良好群【A】
両眼とも視力良好群【B】

と、キャッチボールを1,400回行いました。1400回行う過程で、【A】の上達はほぼ見られなかったそうですが、【B】は大きくプレイの質に向上が見られたそうです。

今回は、ざっくりとして実験結果のご紹介ですが、両眼共に見えるようにしておくことの大切さが分かります。幼少期からの様々な運動経験が、子ども達の将来に大きな影響を与えることは言わずと知れていますが、様々な運動に取り組む機会があったとしても、その子の両眼で見ている世界が整っていなければ、その経験の質は大きく損なわれます。運動は、視機能が整った状態での経験が非常に重要です。

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海外の視力検査は、視力数値は勿論のこと、動体視力・瞬間視・コントラスト・眼球運動など、ひと言で視力検査と言ってもそのチェック項目は圧倒的に多いです。

視力はあるけれど、本が読めなかったり読まない子っていませんか?また、ボールが上手く取れなかったり、動いている物への知覚が弱い子っていませんか?

海外では、機能をしっかりと確認する機会があることで、

✔ 見えているのになぜ見えないのか?
✔ 課題がどこにあるのか?

を探し出し、ビジョンセラピー(ビジョントレーニング)へ介入していきます。眼を中からも外からも検査する環境があり、そこから機能改善や向上にむけたトレーニング介入へと導く一連の流れがある。改善傾向がみられるため、膨大な研究報告(論文)が行われています。日本でここまで視覚機能のチェックが行われていれば、現場で指導する先生をはじめ、どのように接すべきか明確になると感じています。