新型コロナの感染拡大はこのまま終わるのか?
第2波は来るのか?

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株式会社レスキュープラスBCP作成支援担当の秋月です。

新型コロナの感染状況は次第に落ち着きを見せています。5月14日には39県の緊急事態宣言が解除され、解除されていない東京・大阪など大都市圏での新規感染者も減り続けています。喜ばしいことに、東京都では5月19日の新規感染者は5人に留まり、このままいけば新規感染者がまったく出ない日が続くようになるだろうと思えるようになってきました。

また、5月14日に発表された「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」の資料によれば、感染拡大の目安となる実効再生産数は、4月から引き続いて下がる一方です。

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5月14日発表 新型感染症対策専門家会議資料より「全国再生産指数の推移」

この資料によれば、緊急事態措置の緩和要件として、以下の3つの指標を挙げています。
1.新規報告数:直近1週間の新規感染者数が前週を下回る
2.直近1週間の10万人あたり累積新規感染者数:0.5人未満程度
3.重症者数が減少傾向であり、医療提供体制が逼迫していない


特に、2の「直近1週間の10万人あたりの累積新規感染者数」も数値が下がってきており、解除の日が近いと考えられます。さて、新型コロナの感染拡大はこのまま収束するのでしょうか?そして収束したきりになって感染拡大がぶり返すことはないのでしょうか? もちろん未来に起こることは「神のみぞ知る」ですが、それを予測するのに役立つ研究がいくつか発表されていますのでご紹介します。

5月14日に科学誌『Science』に載った記事(*1)によれば、「新型コロナに罹患して回復した患者の免疫を調べたところ、70%の患者から新型コロナウイルスを標的として攻撃するキラーT細胞が見つかり、重要な免疫応答を果たした」と考えられるそうです。

また5月19日の読売新聞記事(*2)によれば、「新型コロナ感染拡大の前に採取された米国人の血液から、新型コロナウイルスを認識するT細胞が見つかった」とのことです。これはつまり、新型ではないコロナウイルス=風邪に罹った経験から、似たようなウイルスで免疫が反応する「交差免疫」が出来ている可能性があるそうです。
*1:「T cells found in COVID-19 patients ‘bode well’ for long-term immunity
*2:「【独自】未感染者の半数、すでに免疫?…他のコロナウイルス感染の経験影響か

現時点では推測も混じりますが、過去に一般的なコロナウイルスによる風邪に罹ったことがある人は、新型も含めたコロナウイルス全般に有効な免疫を獲得していて、感染そのものを防いでいる、ないしは重症化を防いでいる可能性がある、ということが言えそうです。

一般的に、新型感染症は、人々が免疫を持っていないうえにワクチンも治療薬もないため、集団免疫を獲得するまでは繰り返し感染拡大の波がやってくると言われています。

今回は、緊急事態宣言による外出自粛が功を奏して収まっているようですが、これまでのPCR検査による確定患者数は16,394人です(5月20日現在)。1億2千万人の人口がいる日本において、仮に検査漏れでこの100倍の患者がいたと仮定しても、国民の約0.01〜1%が罹患しただけで感染拡大が停まってしまった訳です。

軽くて済んでいるのは本来喜ばしいことですが、正直なところ「何かの間違いだろうか? なぜこの程度で収まったのか?」と訝(いぶか)しさを感じています。その理由は将来明らかになると思いますが、今回判明した交差免疫、治験が進むBCG摂取、マスクを厭わない習慣、もともと家では靴(土足)を脱ぎ、挨拶にも距離がある日本文化の特殊性など、さまざまな要因が複合的に奏功していると予想されます。仮に感染拡大の第2波、第3波があったとしても、今回の経験で我々は抑え込むことはできるという経験値を積みました。将来に向けて、この知見を有効に活用しながら、一刻も早く経済を立ち直らせる努力を始めるタイミングだと考えています。




今後の企業経営には、感染対策を織り込むことが必須になります。ファイナンス、従業員の行動規範、接客ルール、パンデミック時対応など、今回の緊急事態宣言下における緊急対応ではなく、通常経営の中に対策を落とし込む必要があります。メディシンクでは、ファイナンスと健康指標の専門家の部坂氏と事業継続コンサルの専門家である秋月氏と共同で「感染対策を経営企画に組み入れるコンサルティングサービス」を開始しますので、ご興味ある方はお問い合わせください。
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https://www.facebook.com/154179495188691/videos/2896105443806351/




プロフィール
秋月雅史
1989年 日本アイ・ビー・エム入社。メガバンク担当営業を経験。1997年日系コンサルティング会社に転職、その後外資系・日系IT会社で新規事業の企画を担当。2007年からは企業・団体向けの危機管理体制構築、BCP 策定支援への取り組みをスタート。日本経済を牽引する大企業から中小企業まで多くの会社のBCP強化に寄与している。日本能率協会BCP講座担当講師。

日本能率協会:「BCP」対応編 研修講師に聞く
https://jmaqa.jma.or.jp/case/2019/06/04/23

株式会社レスキュープラス「BCPのSOS」
http://bcpsos.rescueplus.jp/?page=bcpsos


先月末に書かれた別記事「東京封鎖=ロックダウンは起こるのか?」も是非お読みください。
https://www.office-mica.com/magazine/entry/2020/03/30/164509/