慢性疲労と睡眠の異常 〜後編〜

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前回記事に引き続き、今回も疲労と睡眠の関係について考えてみましょう。

●疲労に伴う日中活動量低下と睡眠異常

図2は、健常者と疲労患者のアクティグラフの検査結果を示しています。健康な人では、日中の活動量は毎分200前後で安定しており、睡眠に関しても夜11時に入眠し、朝7時に起床するまで、中途覚醒はほとんど認められず、良質な睡眠が確認されます。

しかし、慢性的な疲労がみられる患者では、日中の活動量が健常者と比較して明らかに低下している時間帯が認められ、日中に居眠りをしていることも確認できます。また、睡眠に関しても、午前1時から10時30分までの睡眠の中で午前4時30分頃に20分程度の中途覚醒がみられることや、午後4時過ぎに昼寝をしていることもわかります。

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図2.健康な人と慢性疲労を自覚している人の違い

ここでは代表的な検査結果をお示ししましたが、日中の活動用の低下や居眠り回数の増加、睡眠中の中途覚醒、睡眠効率の低下などは疲労の客観的な指標として活用されるようになってきました。しかし、このような異常は、検査を受けるまで全く気が付いておられない方も多くおられます。これは、過重労働が続いていても周りから高い評価を受けている場合や、自分の仕事に充実感を感じている時には、脳内にドーパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の放出が高まり、体の中で起きている異常に気が付きにくくなることが関係しています。

睡眠や体調の異常が気になる場合には、このような簡便で客観的な評価を受けられることをお勧め致します。
参考 株式会社FMCC 「睡眠覚醒リズム評価について




医師:倉恒弘彦(くらつね・ひろひこ)
プロフィール
大阪市立大学医学部客員教授として、疲労クリニカルセンターにて診療。1955年生まれ。大阪大学大学院医学系研究科招へい教授。日本疲労学会理事。著書に『危ない慢性疲労』(NHK出版)ほか。

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※この記事は、弊社提携先の株式会社FMCC(倉恒弘彦代表)のコンテンツを連載するシリーズです。「疲労関係」の講演や臨床試験など、弊社までお気軽にお問い合わせください。




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