ストレスの評価と対処法〜前編〜

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ヒトが感じている生活環境ストレスには、

①精神的ストレス(人間関係のあつれきなど)
②身体的ストトレス(長時間の残業、過度の運動など)
③物理的ストレス(紫外線、騒音、温熱環境など)
④化学的ストレス(ホルムアルデヒドなどの化学物質)
⑤生物学的ストレス(ウイルス、細菌、寄生虫など)

など、さまざまなストレスがみられることを前回の「ストレスの正しい理解」の中でお話をしました。

そこで、今回はストレスの評価やその対処法についてご説明いたします。

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●ストレスは絶対的な量だけでは計れない

生活環境ストレスに伴う生体の反応をみてみますと、そのストレッサーの大きさや持続期間は重要な因子となっています。そこで、まずは自分に降りかかってきているストレッサーの強度や持続期間を正しく分析することは大切です(①絶対的なストレッサー評価)。

また、ストレッサーに対する感じ取り方には個人差があります。ストレスの感受性は遺伝的要素が大きく、これは性格の問題というより、気質(親からの遺伝によって決まる性質)が深くかかわっています。完璧主義で、固着性(物事にこだわる性質)が高い人は、そうでない人よりもストレスをより大きく感じることが知られていますし、脳内のセロトニン代謝に影響を与える遺伝的気質を調べてみると、シナプス(神経と神経の情報交換の場)においてセロトニン欠乏をきたしやすいタイプは、疲労に陥りやすいこともわかっています。したがって、ストレスに対する感受性を評価することも重要です(②ストレス感受性評価)。

そして、最後にストレス状態をどの程度うまく処理できているかによってもストレスの状況は違ってきます(③ストレスコーピング評価)。

したがって、ストレス状況を評価する場合には、①絶対的なストレッサー評価、②ストレス感受性評価、③ストレスコーピング評価の3つを総合的に行うことが大切です。

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●ストレス対処法(ストレスコーピング)の重要性

ストレスコーピングについて、少し詳しくご紹介します。たとえば、1日あたりのストレス状態の程度を100とします(100/日)。1週間、何も改善することができない状況が続いている場合は、単純に考えれば100/日×7日=700のストレス状態となります。ここで、毎日9割のストレス状態が処理できる人と、1割程度しかストレス状態が処理できない人では、1週間後の蓄積したストレス状態は大きく違ってきます。毎日9割のストレス状態が処理できた人は、100/日×0.1×7日=70のストレス状態にしかなっていませんが、毎日1割しか処理できない人は100/日×0.9×7日=630となります。実際には、このような単純な足し算でストレス状態を判断することはできませんが、ストレスコーピングをうまく活用できている人と、できない人では、疾病に陥る確率が大きく違ってくることが知られています。

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次回は、3種類のストレスコーピングについて解説していきます!




医師:倉恒弘彦(くらつね・ひろひこ)
プロフィール
大阪市立大学医学部客員教授として、疲労クリニカルセンターにて診療。1955年生まれ。大阪大学大学院医学系研究科招へい教授。日本疲労学会理事。著書に『危ない慢性疲労』(NHK出版)ほか。

※この記事は、弊社提携先の株式会社FMCC(倉恒弘彦代表)のコンテンツを連載するシリーズです。「疲労関係」の講演や臨床試験など、弊社までお気軽にお問い合わせください。




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