緊急事態宣言の延長は必要か?

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株式会社レスキュープラス
BCP作成支援担当の秋月です。

みなさまご存知の通り、5月4日に緊急事態宣言が5月31日まで延長されることが決定しました。
また昨日(5月7日)の菅官房長官の会見によれば、
5月14日に専門家判断による緊急事態を解除するための基準を公表するとのことです。

この措置については意見があるようで、
メディア各紙・各局やネット上でもさまざまな議論が噴出しています。
そこで、この措置が本当に必要だったのか、データを元に検証してみたいと思います。

もともと新型コロナウイルス感染症対策本部では、対応の基本的な方針として、
(1)感染拡大を緩やかにすること=集団発生を防ぐこと
(2)流行のピークを下げることによって医療資源の枯渇を防ぐこと
(3)医療資源を重症患者のために温存すること、を目的に対策を実施してきました(下図)。

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https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000617799.pdfより

その結果、欧米などの感染状況と比較しても、100万人あたりの死者数は極端に低く抑えられており、
一定の成功を納めていると考えられます。

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https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/death.html より

一部の識者からは、PCR検査数が他国より少ないことから、クラスターを見逃しているのではないか
という批判もあるようですが、下図「100万人あたりのCT数」によれば、日本のCT設置台数は他国の倍以上です。
現場の医師によるレントゲンとCTでの診断によって、感度があまり高くないと言われるPCR検査を補って
余りある効果を上げているものと見られます。

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https://labcoat.jp/world-ranking-for-ct-mri-pet/より

また5月1日に専門家会議が発表した「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」によれば、
全国の感染者数の推移も緩やかになっています。
これらの状況を観ていると、今回の延長措置はなぜ行われたのか?と私は考えておりました。

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https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000627254.pdfより

その点については、同資料によれば、
「新規感染者数が減少傾向に移行しても、平均的な在院期間は約 2~3 週間程度となっている。
とりわけ、人工呼吸器を要するような重症患者については、
在院期間が長期化し、その数が減少に転じにくい傾向がある。」
とあり、重症患者のための医療資源になお留意する必要があることを述べています。

一方で、年齢別の死者数を見ると死亡者はほぼ50代以上です。
しかも亡くなった方の多くは、
1)高齢者向け施設内での集団感染
2)夜の街での飲食、が主な原因でした。

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https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/より

つまり、「重症化して医療資源を消費する」ことを避けるためには、
(1)高齢者施設での集団感染を防ぐ
(2)50代以上の方々は呑みに出かけない
この2点が重要ということになります。

以下は私見です。
今回の延長措置は、全国一律・全国民一律の措置でしたが、これ以上経済を疲弊させないためにも、
一部の条件を緩和しても良かったのではないかと考えています。
私が考えるのは次のような条件です。

(1)国民全員で、マスク・手洗い・アルコールによる手指消毒を続ける。
→これによって新型コロナだけでなく、紛らわしい普通の風邪やインフルエンザ、食中毒が引き続き抑制できます。
新型コロナのワクチンや治療薬が普及するまでは継続すべきと考えます。

(2)外出自粛は50代以上に限って続ける。特に50代以上は街中での飲酒を当面控える。
それ以下の年齢は通常の経済活動・生活に戻る。
→いまや飲み会は若者の特権になりました。私を含めた50歳以上のおじさんたちは、
しばらくの間は大人しくZoom呑み会で我慢しましょう。

(3)ただし、実効再生産数が再び1を超えたら、ふたたび全員で外出自粛に戻る。
→5月1日の専門家会議資料でもっとも驚いたのはここです。
なんと東京では、緊急事態宣言が発令された4月初旬には、
欧米がロックダウン解除の基準とする「実効再生産数が1を下回って」いました。
つまり感染のピークは過ぎていたのです。

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https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000627254.pdfより

つまり、50歳以下の人々は、感染予防を継続しつつ通常の経済活動に一刻も早く戻したほうが良いと考えております。
5月14日には、このような具体的な基準が発表されることを望みます。



プロフィール
秋月雅史
1989年 日本アイ・ビー・エム入社。メガバンク担当営業を経験。
1997年日系コンサルティング会社に転職、その後外資系・日系IT会社で新規事業の企画を担当。
2007年からは企業・団体向けの危機管理体制構築、BCP 策定支援への取り組みをスタート。
日本経済を牽引する大企業から中小企業まで多くの会社のBCP強化に寄与している。日本能率協会BCP講座担当講師。

日本能率協会:「BCP」対応編 研修講師に聞く
https://jmaqa.jma.or.jp/case/2019/06/04/23

株式会社レスキュープラス「BCPのSOS」
http://bcpsos.rescueplus.jp/?page=bcpsos


先月末に書かれた別記事「東京封鎖=ロックダウンは起こるのか?」も是非お読みください。
https://www.office-mica.com/magazine/entry/2020/03/30/164509/