破・オージーライフ

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オーストラリアの今の生活にはすっかり慣れてきました。独り言も英語になって、
無意識に英語を使えるようになってきました。

Hi, how are you? これ日本の教科書にも載っている典型的な挨拶ですが、フォーマル
な場でもインフォーマルな場でもどちらでも使えます。オーストラリアといえば、
G’Day!と言うイメージがありますが、シドニーではまだ一回も聞いたことがありません。
田舎の方に行けばまた違うのかもしれませんが……

これから東京オリンピックで観光客がまだまだ増えてくるはずです。もし街中で
困ってそうな外国人がいたら、遠慮なくHi, how are you?から話しかけて助けてあげ
てください。実はこれめちゃくちゃオージー流だったりもします。「うっすらとし
た仲間意識」みたいなものが四方八方に飛んでいて、見知らぬ人に話しかけること
に対してほぼ躊躇がありません。これは語学学校の先生に聞いた話ですが、英語の
世界で敬意を払うということは、距離を取りつつ同じ目線で働きかけることだそうです。
そして、これが仕事となると……やはり「対等であること」を求められます。

日本で8年弱働いた私からするとまだ慣れない部分もありますが、今日は
そこについて少し書いてみたいと思います。


1.オージー流の働き方・労働環境
今、私は、日系現地の旅行系のプロモーション会社で働き始めました。
社内では主に日本語を使っていますが、同じオフィスにオーストラリアの投資
会社が入っていて、彼らと話す機会も少なくありません。また、社外ではメディア
関係者やインフルエンサーの方々とやり取りをする機会が多くあります。そのため、
彼らの働き方や、クライアントとのやり取り、ディールの引っ掛け方等を、いわば
外側から見ている環境にいます。

彼らの働き方を見ていると、とにかく無駄がありません。どんな無駄がない
かというと、一番はコミュニケーションの無駄がありません。言語・文化的
な背景にもよると思いますが、ビジネスの話をするときに焦点があたって
いるのは、ディールだけです。日本でよくある社内調整であったり、進め方で
あったりはほぼ聞きません。一つあったのは、「この見積もり取るのに社内で
承認が必要だから、広告主からの依頼を証明書代わりにメールで転送して
くれる?」みたいな軽いやつです。

良くも悪くも相手をコントロールしようという気がないのか、とにかくやって
みようみたいな感じです。

あとは、次の週末の予定やら、昨日のフットボールの話やら、どこの店の
ビールが美味いやら、家族の話やら、まぁ世間話ばかりしています(笑) 
この辺の話になると逆にスラングがめちゃくちゃ出てくるので、全くついていけ
ず苦労しています……


そして、仕事は会社のものではなくて自分のもの、といった意識もバンバン
伝わってきます。だから、みんな17時ピッタリで帰ります。17時半にはもう
得意先と繋がらなくなります。急に小学生です(お母さんに呼ばれた小学
生のように、17時になったらさっさと帰るってイメージです)。
一方で、朝はめちゃくちゃ早くてbreakfast MTGは7時から、なんてことも
ザラです。タイムリミットが決まっている分、集中するときは集中する、抜くと
きは抜く、みたいなメリハリが尋常ではありません。


さんざん褒めちぎったところで、逆に悪い部分もあります。
割に合わないと思ったら、途中でも平気で投げ出します。こっちはスケジュ
ールとリソースを決めて走りきりたいのに、「やっぱやーめた」みたいな割り
切りが恐ろしく早く、スタコラサッサとどっか行ってしまうので、こちらがいかに
予算を持っていようとも侮れません。今の所ワークしている僕の戦略は、リスク、
可能性や予算を全て開示し事実を提示すること、そして、そこからこれはラグビー
の試合だといかに思ってもらうかです。つまり、仲間意識とターゲットを強調して、
獲物を手に入れるぞ!みたいなスポーツのバイブスを出すことに今のところは
腐心しています。


2.オーストラリアで働く日本人
私の大学時代の友人が、同じシドニーで働いています。彼は会計士で、この
原稿を書いている時点(6月)はMAXで忙しく、毎日23時まで働いている
そうです。6月はオーストラリアの年度末で、日本の3月にあたるためです。
ただ、普段は、オーストラリア現地の企業にいるため、周りの同僚たちは仕事
が終わればすぐに帰ってしまうとのことです。

彼から聞いたオーストラリア企業の興味深い話があります。同じ職場に性転
換手術を受けることを決めた同僚がいたそうです。その性転換手術の話は、
CEO直々に後押しし、彼女(転換後)の職場復帰の際に、全従業員にメール
が送信され、「彼女を、受け入れ、迎え入れるように」という趣旨の通達が
あったそうです。さらに凄いのは、新しい彼女のための歓迎会まで開かれた
そうです。この話からも多様性と仲間意識に対する無条件のリスペクトとい
ったものを感じたそうで、これが良い職場環境に繋がっているという話を一
緒にハイキングしながら話したのを覚えています。


3.日本への示唆
今回のまとめとして、私が日本の現在の働き方や健康経営に対して強調して
おきたいのは、「みんな同じ働き方や考え方をする必要は一切ない!」とい
うことです。人間関係がどうとか仕事量が多いとか、もはや関係ないです。
一方で、それが出来ない……という感覚もよく分かります。だとすれば、
コミュニティを持つという感覚も大事になってくるのかなと思います。
趣味でも勉学でも語学でも本当に何でも良いと思います。もし新しく参加す
るのが億劫だと感じたら、自分で作っちゃうのもアリかなと。ゆる〜くても
ソーシャライズしている感覚を持ちつつ、オープンに気持ちを開いて、周りに
もそう振る舞うように促していれば、つむじ風が竜巻になっていくのではな
いでしょうか。

私個人としては、スポーツコミュニティはかなりオススメです。運動ができて、
老若男女問わず新しい友達ができて、趣味としても楽しくて、
1 stone kills 3 birds(一石三鳥)ぐらいあります。


没頭する時間とソーシャライズする時間の両方、楽しんでみてはいかがでしょうか?