寝苦しさと温度の深い関係

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こんにちは。上級睡眠改善インストラクターの安達直美です。

眠りの作法を知って“睡眠の達人”になれる連載がスタート。免疫力を下げないためにも睡眠が大事って知ってましたか? そんな方、必見の内容です。今回はPart1。眠りの作法その1「体温を下げよ」をお届けします。

これから訪れる夏は、1年のうちでもっとも睡眠が浅くなり、「睡眠負債」を溜め込みやすくなる季節です。パフォーマンスや免疫力の低下、急な体調不良を招く“夏の睡眠不足”への知識を身につけておきましょう。

夕方から翌朝までの最低気温が25℃以上になる「熱帯夜」、このコトバを聞いただけでも眠れない感覚が襲ってくる人も少なくないハズ。それもそのはず、熱帯夜は気象庁の予報用語のひとつで、夏の寝苦しさを示す指標としても用いられています。

ところで皆さんは、どうして夏に眠れなくなるのか、ご存知ですか? 実は、寝苦しい夏だけでなく、冬も眠れない理由は同じなのです。ヒトが睡眠に入るための条件は4つ。

①眠気がたまっていること
②体の眠る準備ができていること
③脳の眠る準備ができていること
④環境が眠りの邪魔をしていないこと

これら全ての条件が整ってはじめて、ヒトは眠りにつくことができます。暑くてジメジメした夜には、④の「温湿度」が、②と③に悪い影響を与えるため、眠れないということになります。

ヒトの脳と体は、眠るときに熱を外に逃して体温を下げながら休息モードに入ります。手足の毛細血管を拡張させ、血流を増やすことで体の熱を皮膚から外へ放出するのですが、特に、外気温が高いときは体の熱をうまく放散することができず、深く眠ることができなくなってしまうのです。

熱帯夜は皮膚温と外気温の差が5℃以内になるため、熱放散がしにくくなります。つまり、夏に良好な睡眠をとるためには、皮膚温と環境温に5℃以上の差をつける工夫が必要ということになります。

最近は、新型コロナウイルスの影響で、朝晩体温を測ることが日課になっている方も多いかと思いますが、おでこや脇の下で測る体温と、皮膚温には若干差があります。手足の末端の皮膚温は、28℃から31℃くらいといわれていますから、教科書的には寝室の温度は26℃以下にしないといけません。

冒頭に書いたので皆さんもうすでにお気づきのことと思いますが、冬に眠れないのも「体温が下がらないから」が理由となります。冬に熱放散がしにくくなる原因は、冷え。手足が冷えることで、毛細血管が収縮したままとなり、血流が増えないので熱を外に逃すことができないのです。

「眠りの作法」を習得して、いつでもどこでも自分らしく眠れるノウハウを身につけましょう。

次回は、体温を下げるためのノウハウをお届けします。