疲労の回復法1ー入浴の効果ー(後編)

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前回記事に引き続き、今回も入浴の効果について記事にしていこうと思います。

●入浴の疲労回復効果

まず、日常生活において一番多くの方が実感しておられる入浴の疲労回復効果についてご説明します。入浴による効果は、温熱効果で血管が拡張して全身への血液の流れが改善し、酸素や栄養素の供給が増えることが関係しています。また、バスタブの中では水面からの深さに応じて水圧がかかっていますので適度なマッサージ効果も認められます。さらに、水中では常に体重により圧迫されていた膝や腰の負担が浮力によって軽減することも疲労回復に関連していると思われます。

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尚、入浴の効果はお湯の温度によっても違っています。42度以上の高温浴は、交感神経系の活動を高めて新陳代謝も促進され、抑うつ状態の改善や意欲の向上などの疲労回復効果が期待できます。

一方、39度以下の比較的ぬるめの入浴では副交感神経系の活動が高まり、リラックス効果が期待できます。さらに、ぬるめの入浴では睡眠誘発効果も期待できます。比較的ぬるめのお湯にゆったりとつかっていますと、体の深部体温が38度程度まで上昇しますが、入浴後に体温が下がり始めると眠気を誘発することがわかっています。そこで、不眠でお困りの方には、この体温低下に伴う眠気の利用されることをお勧めしています。

しかし、多くの方は入浴後に居間でテレビをみてくつろいだり、歯を磨いたりしておられ、せっかくの好機を無駄にしています。入浴後30分以上時間が経過してしまいますと、上昇していた深部体温は元に戻り、入眠誘発効果は失われてしまいます。この効果をうまく活用するためには、入浴前にするべきことをすべて処理し、入浴後はすぐに寝付くことが大切です。

最近では、浴槽に泡や水流を作り出す装置を設置して入浴を楽しんでいる方も多くみられます。泡風呂には交感神経系の過度な緊張を軽減する効果があり、また暖かい湯の流れに体を当てることは、筋肉の緊張が取れ、脳機能の回復効果が認められることもわかってきています。

入浴は、科学的な効果が明らかになってきている家庭でできる一番身近な疲労回復法の1つですので、自分にあった入浴法を取り入れられることをお勧めします。




医師:倉恒弘彦(くらつね・ひろひこ)
プロフィール
大阪市立大学医学部客員教授として、疲労クリニカルセンターにて診療。1955年生まれ。大阪大学大学院医学系研究科招へい教授。日本疲労学会理事。著書に『危ない慢性疲労』(NHK出版)ほか。

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※この記事は、弊社提携先の株式会社FMCC(倉恒弘彦代表)のコンテンツを連載するシリーズです。「疲労関係」の講演や臨床試験など、弊社までお気軽にお問い合わせください。




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