「トロッコ問題」は現実的思考で答えが分かる

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みなさんこんにちは。ヘルスビット株式会社の部坂です。

「トロッコ問題」では、ブレーキのきかなくなったトロッコが、そのまま走行すれば5人が死ぬが、ポイントを切り替えれば5人は助かり、逆に切り替え線の先にいる1人が死ぬ、ポイントの切り替えができる貴方は、どちらを選ぶか、といったシナリオを提示する。

この問題を貴方の立場で現実的に考えてみると

①何もしなければ5人が死ぬ
②ポイントを切り替えれば1人が死ぬ
③ポイントを切り替えて1人が死ねば、貴方に対して、殺人罪による起訴、遺族による損害賠償請求訴訟の可能性がある
④何もしなくて5人が死ねば、世間から非難を浴びる可能性がある

世間からの非難④に比べて、殺人罪・損害賠償請求③は切実な問題であり、最初からこの点を指摘して命題提示した場合②を選択する回答は激減すると推察される。
(通常は「ポイントを切り替え、1人を犠牲にして5人を助ける」との回答が圧倒的に多い)

現実的に考えてみる場合に重要なのは、世の中のルール、法律である。
(倫理・道徳を加味した上で、それらを上回る果実が期待される場合に異なる行動となりうる)

例えば、「トロッコ問題」のルールとして

刑事罰、民事訴訟の対象にならない。
命題内の各人は死亡保険金額で数値化される
とすると、基本的には経済的問題に変換される事になる。

死亡保険金は、若年層は増額、高齢者は大幅に減額、申告納税額が多いと増額される事から、「トロッコ問題」で議論される様々なケースも単純化が可能になる。

このように現実的に考える事は、新しいテーマを検討する際に有効である。

<自動運転>
トロッコ問題は自動運転における優先順位付けで議論されるが、現実的には所有者が自動車保険に加入し、保険会社が自動運転車毎に料率を決定する事になるので、自動運転車の普及に関しては自動車保険とセットで考える必要がある。保険会社からすると契約者の属性、車両の性能、法的支払いリスクを勘案し料率を決める事になるので、極めて現実的にリスクを数値化する事になるであろう。保険会社の立場で重要なのは、「ユーザーが求める高性能」な自動運転車より「誤作動しにくいシステム」であり、より重要なのは事故発生時の法的適用と当局によるガイドラインになる。

過去の経験が役立たない、未来社会に適応する為には、このような現実的思考が有効と推察されるので、ご参考にして頂ければ幸いです。