コロナ後の世界はどうなるのか?(経済編)

  • facebook
  • twitter

株式会社レスキュープラス
BCP作成支援担当の秋月です。

「コロナ後の世界はどうなるのか?」
このタイトルのような疑問は、おそらく、
このメルマガを読んでいる多くの人が自問自答したに違いありません。
私達の社会は、日本は、世界はどうなってしまうのだろうか? と
不安を覚えていることでしょう。

私自身も、さまざまな文献を検索して先行きの予測を繰り返し、
その不安を少しでも拭えるよう努力していますが、
残念なことに、私が調べた範囲ではあまり楽観できない世界観が広がっています。
まずは短期的な経済予測を見てみましょう。

まず投資銀行ゴールドマン・サックス社のコラム
「緊急事態宣言で日本の成長率は1955年以来の落ち込みへ」から引用します。

(引用開始)
問:緊急事態宣言やそれに伴う外出自粛などは日本経済に
どのようなインパクトを与えるのか。

答:チーフエコノミスト馬場氏:
今回の緊急事態宣言を受けて、2020年4-6月期実質GDP成長率(前期比年率)を
従来のマイナス7.2%からマイナス25.0%へと大幅に下方修正しました。
これはGDPデータを遡れる1955年以降で最大の落ち込みに相当します。
(中略)日本経済は大きな打撃を避けられないでしょう。(引用終り)

この落ち込みの理由として、
自粛要請のあった業種やテレワークができない企業の売上が下がり、
その影響で失業率が上がる and/or 賃金が減り、
結果としてGDPの約60%を占める個人消費が大きく落ち込むという
負のスパイラルに陥ることが上げられます。
このスパイラルが行き着く先はどうなるのでしょう?
企業の固定費および個人出費の分析から予測してみます。

1:企業の経費の場合 table

               
人件費 補正予算で70%まで補償する助成金を創設(但し機能していない)
地代家賃 家賃は払わざるをえない、ローン返済も同様
水道光熱費 営業しなければ減る
宣伝広告費 宣伝しなければ減る

つまり企業の場合、売上が減るにも関わらず

1)人件費が支払えなくなる
2)家賃などが払えず、立ち退き、差し押さえ、最悪の場合は廃業も

などの可能性が出てきてしまいます。
次に個人の出費を見てみましょう。

2:個人の出費の場合

table        
地代家賃 増加:家賃は払わざるをえない、ローン返済も同様
水道光熱費 増加:減らない。むしろ在宅勤務・休校等で増える
水道光熱費 増加:減らない。むしろ在宅勤務・休校等で増える

個人も同様です。
賃金が減ったとしても出費はむしろ増える可能性がある上に、
家賃やローンが支払えなくなった場合、差し押さえられた上に立ち退きを求められ、
自己破産以外に打つ手がなくなることも起こりえます。

これを防ぐ有効な政策の案としては、
1)政府が国民の賃金を全面的に支える。またはベーシックインカムを設定する。
2)不動産の立ち退きと差し押さえを猶予する立法を行うこと。

この2点です。

政府には一層の支援を期待したいですが、
われわれが自分自身でできることはないでしょうか?
次回はそうした可能性について書きたいと思っています。(続く)



【参考】
2009年に新型インフルエンザの緊急セミナーにパネリストとして登壇頂いた秋月氏のトークも必見です。
「映画『感染列島』緊急セミナー」
http://kansen-rettou.medithink.co.jp/
今、GW前にコロナ対策セミナーを慶応大SFC研究所コンソーシアムと企画中です。
企画に興味ある方はご連絡ください。


プロフィール
秋月雅史
1989年 日本アイ・ビー・エム入社。メガバンク担当営業を経験。
1997年日系コンサルティング会社に転職、その後外資系・日系IT会社で新規事業の企画を担当。
2007年からは企業・団体向けの危機管理体制構築、BCP 策定支援への取り組みをスタート。
日本経済を牽引する大企業から中小企業まで多くの会社のBCP強化に寄与している。日本能率協会BCP講座担当講師。

日本能率協会:「BCP」対応編 研修講師に聞く
https://jmaqa.jma.or.jp/case/2019/06/04/23

株式会社レスキュープラス「BCPのSOS」
http://bcpsos.rescueplus.jp/?page=bcpsos


先月末に書かれた別記事「東京封鎖=ロックダウンは起こるのか?」も是非お読みください。
https://www.office-mica.com/magazine/entry/2020/03/30/164509/